今日の空

新しいオモチャをふたつ手に入れると、どっちも使ってみたくなるのが道理。ひとつは、ウラニウムを使ったガンバレルタイプ。もうひとつはプルトニウムを使ったインプロージョンタイプ。もはや趨勢は決していた戦争の推移なんかどうでもよくて、戦後の主導権を握るため、ただ、両方を試す、という目的が、彼らにあった。どうせ相手は、黄色いサルだ。京都市、広島市、横浜市、小倉市が候補となり、横浜市と小倉市が外れて新潟が候補になり、第一候補だった京都が戦後政策の理由から外され、長崎が候補に加わり、そして1945年の今日、小倉上空が八幡空襲で生じた靄で視界不良だったため、長崎上空にファットマンが投下された。
これは、だからアメリカが悪い、と言う話ではない。昔、広島を訪れたわたしは、過ちは繰り返しませぬから、という碑文に憤りを覚えたけれど、しかしもし原水爆開発に関する立場が逆なら、ワシントンだろうがニューヨークだろうがロンドンだろうが、帝国陸海軍は憎き鬼畜米英の上に、躊躇うことなく新型爆弾を落としただろう。レーニンの十月革命がもっと早く成ってソヴィエトの核開発がもっと早ければ、タヴァーリシチ1号なんてのが新潟あたりに落とされたかもしれない。歴史に暗い名前を残すのが誰か。そうならないために、どんな覚悟が必要なのか。そんなことを、考えさせられる今日の空なのだ。ま、ワシがナニをどう考えようと、世の中ナニも変わらないのだけど。

Author: shun

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