ウン十年ぶりのたこ焼き

遠い昔、ほとんど偶然に見つけたタコ焼き屋。細い路地の先の、踏切の手前に、まるで大阪の路地によくあるような、一間の玄関先に焼き台を出しておばちゃんが焼いてるような、そんな露店に毛の生えたようなたこ焼き屋。看板を見ると、なんと「大阪屋」である。もう、これ以上にベタな名前があるだろうか。焼いてたのはおばちゃんではなく、若い、というか、当時のワシと同じような年恰好の兄ちゃんで、もちろんコテコテの大阪弁で、果たして東京ではどんなに夢見ても食べられなかった、大阪で当たり前のたこ焼きが、出てきたのだった。

なんだー、東京でたこ焼き、食べられるぢゃんかー。

しかし、その日以来、そのたこ焼きは、ワシにとって幻のたこ焼きになった。南口から歩いて20秒のところに住んでたこともあるワシだけど、下北沢、あの町は迷路である。世田谷、そんな場所が多いけど、もともといろんなヤツが好き勝手に地面を取りあいして作ったような、さまざまなカタチの田んぼが、そのままのカタチの宅地になって、昔の畔道が、そのまま道路になったような、って、ワシが勝手にそう思ってるだけなんだけど、そんなあぜ道のラビリンスが下北沢。そんなわけで、なぜか、あのたこ焼きが食べたくてまた行こうと思っても、その路地も踏切も見つけられなかったのだ。グーグルマップも食べログもなかった時代の話だ。
しかしいまや、インターネットでなんでも見つけられちゃう。下北沢、たこ焼き、大阪屋、で検索すると、出る出る。すると、なんと何年か前に惜しまれつつ閉店し、それが去年くらいに3年の時限で別の場所に復活してるんだという。こ、これはナニがあっても行かねば。と、いうわけで、今回はiPhoneとGoogle先生に案内してもらって、焼いてた兄ちゃんもワシと同じくらいのおっさんになってたたこ焼き屋と、ウン十年ぶりに奇跡の邂逅を果たした、というわけなのだ。って、たかがタコ焼きにオーバーか。(^^;;

Author: shun

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