今日のサザンビーチ とムラビト同士の賄賂


朝9時の線量は48nGy/hだった。今年はいい年にしたいなあ、なんてみんなが思ってるところに元旦から本州が大揺れして気持ちを引き締めてくれたような。人間的には年が変わって新たな気持ちになっても、自然からすれば小さな一日が進んだだけなんだもんな。
そういや朝日の記事に、「原子力業界が安全委24人に寄付 計8500万円」てのがあった。原子力安全委員会ちゅーのは、内閣府の審議会のひとつで、あくまでも中立的立場で原子力の安全確保を図るためのチェック機構である。チェックされる人間が、チェックする人間にカネを渡すことを、日本語では「賄賂をおくる」という。委員らは影響を否定しているというが、カネはもらって配慮をしないなんて日本人はいない。なのでこれが選挙なら、ビールをコップ1杯出しても選挙違反だ。で、この原子力安全委員会の安全委員と非常勤の審査委員が5年に計89人いて、そのうちの24人に8500万円、単純に割ればひとりアタマ354.2万円を配ってたという話だ。当然、金額の多寡には差があるだろうし、委員は5人だから、こいつらはよりたっぷりもらっているんだろう。
ただ、この問題は、単なる贈収賄の話ではないんだと思う。いや、もちろん賄賂は賄賂なんだけど、なんていうのかな、賄賂ちゅーのは相手にその気がないのをその気にさせるためのカネだったりするわけだけど、このカネはそもそも、相手もその気なのに渡すんである。そういう意味では、カネをもらっても発言に影響がないのは、ホントのことなのかも。
この安全委員てのは建前としては衆・参両議院の同意を経て内閣総理大臣によって任命されるわけだが、衆参両院も首相も、そんな委員に誰がいいのかなんて知識は持ち合わせていないから、結局、ムラの中の話し合いでテキトーなヤツを委員に出して、まあムラ住民の持ち回りで委員をやってたんだろう。同じ利害の者同士がチェックしているんだから、原発事故を未然に防ぐこともできなかったし、事故直後の対応にまったくなんの力も発揮できなかったのも当然と言えば当然だったわけなのだ。
原発事故当初にまったくその姿を見せなかった斑目委員長はじめ、メンバーの多くは原子力事業者と利害を共通する、いわゆる原発ムラの人間だった。ふつー、あんな事故の後で、ある意味その最高責任者だったと思われてもしょうがない斑目が、記者会見で、あのミョーに現実感のない雰囲気を醸し出していたことでもわかるように、斑目は、たまたまムラの寄り合いで委員に出され、委員の互選で委員長をやらされてただけの人物なのだ。斑目には、そもそも原子力安全委員会という、日本の原子力の安全を司る委員会の委員長をやるに当たって、日本の原子力の安全に責任を持つなんていう概念が当初から欠落していたのだ。そんな安全意識など、安全委員会の委員や委員長をやるのに、これまでまったく求められてこなかったに違いない。
安全委員は常勤の特別職国家公務員であり、年収は約1650万円(月給93万6000円とボーナス)だそうな。そういう高給を税金で頂戴していながら、原子力の安全にまったく寄与できず、起こった事故にもまったく対処できなかった彼らに対して、そのカネを返せと言う声や、あるいは自主的に返納しようという動きは見えない。

Author: shun

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