チャイというネコがいたんだよ

2007年の2月15日、いま、毎日のように通ってる獣医さんの、愛護コーナーつーんだっけ、里親を探してるネコたちがいる部屋から、ぽん2と一緒にもらったネコ。これは、たぶん一番最初に撮った写真。どこにもピントがない。ぶれている。暗かったのかなあ。単にヘタクソなのか。

ほんとは、死んじゃったぽん(ワシがはじめて飼ったネコである)にクリソツなぽん2を見に(もらいに)行ったんだけど、ぽん2は極度のビビリで箱から出てこない一方、たまたま居合わせただけのコイツは初対面の人間のワシに、スリスリどころかよじ登って来てニャーニャー鳴いて、オレを連れて帰れの大アピール。まんまと、ぽん2の付録として、愛護コーナーから出してもらうことに成功したのだ。

だから、連れて帰ったそうそう、もう、我が物顔にウロウロしているわけである。

保護ネコなので、誕生日とかそういうのは、一切わからない。どこかで誰かがなにかして、いま、飼い主を探している子猫だったちゅーだけ。しかも、実はこのとき、ぽん2が白癬菌持ってることがあとでわかって、いきなりぽん2ともども病院に連れ戻されて隔離入院させられたのだった。

あれから、14年。こんなのが、そこらに転がってるのが当たり前の生活を送ってきた。右手でパソコンのマウス握ったまま、画面見ながら文章考えてたりすると、その右手がいつのまにか、コイツの枕だったり、アゴ乗せだったりになってたなあ。

ときには、ていうか、コイツはけっこう高い頻度で、ワシのヒザの上とか腹の上とか脇のとことかにいたよなあ。抱っこが好きで、こうしていると、そのまま寝ちゃうんだよなあ。思えばここ最近、ほとんど抱っこしてやってなかったなあ、なんてことを思い起こして、激しく後悔していたりして。こんなにうれしそうなのに。ほんと、後悔先に立たず、だよな。なぜかワシ長袖着てるけど、これは、7月5日。バイクで帰ってきたばかりなのかな。

で、このころ、7月初旬から、ショーちゃんが具合を崩した。11日以降は、もう、毎日獣医さん通って点滴打って、投薬して、さらにシリンジで一日1缶、無理くりa/d缶(高たんぱく高カロリー療法食の商品名)喰わせて。で、そんな甲斐あって、やっとこショーちゃんがウロウロしたりするようになって、こんなふうに4匹がマイマイする、いつもの日常が戻ってきて、ホッとしてたんだよな。これは7月26日。

狼藉者のショーちゃんが、こんなふうに通りがかりのチャイにちょっかい出すまでに回復して、ほんと、安心してたのだ。でも、思えばこのころ、チャイも調子がおかしくなってきてたのかもしれない。てか、もともとチャイは調子おかしくて、何年も前からちょっと脳に障害があった(できた?)らしく、ここ何年かはメッチャ喰うし、中型犬か!?みたいなウ●コするのに、ガリガリでヨタヨタで、それが当たり前だったから、そんなのが急激に進行したのに気がつかなかったのかなあ。これは7月27日。

一日2〜3回、一度に数回、シリンジをショーちゃんの口に突っ込んでa/d缶をやるわけだ。で、ショーちゃんが逃げて隠れてるつもりの前に,まるでショーちゃんをかばうように立ちはだかってるのは、実はショーちゃんなんかどうでもよくて、その缶、オレにも喰わせろと要求しているチャイなのだ。ショーちゃんに強制給餌していると、いつも、オレにもくれよと纏わり付いてくるのだ。ジャマなので押しのけちゃってたわけだけど、チャイだってガリガリなんだから、こんな缶、欲しがるなら、ナンボでも好きなだけ喰わせてやればよかった。これは7月31日。

翌8月1日のチャイの記憶が、ほとんどないのだ。でも、店のライブが終わって、家に帰ってショーちゃんにエサ喰わせたとき、いつもニャーニャー寄ってくるチャイが、なぜか、来なかった。思えばあれが、異変に気付くことができる、最後のチャンスだったのかもしれない。

また出た緊急事態宣言に対応するべく、店のWEBのスケジュールとかを修正してたらイスに座ったままうたた寝しちゃって、ふと目を覚ましてトイレに行こうと立ち上がった未明4時か5時か。夜半頃にはエサ場の横のクッションで丸まって寝てたはずのチャイが、その手前の床で横倒しになっている。コイツもともと、死んだような格好で白目向いて爆睡するヤツなんだけど、今日はなんか様子がおかしい。あわてて抱き上げてみると、なんと、ウ●コにオシ●コ出しちゃって、虫の息。ほとんど仮死状態である。ペーパータオル大量に使ってできる限りキレイにしてやって、ヘンなカッコにならないように抱っこして、身体さすって膜がかかってるみたいな目ヤニ(?)拭いて、声かけてたら、少し目に光が戻ってきて、少しゴロゴロ言いはじめた。そのうち、ワシを見上げて、ほとんど出ない声で、鳴いたりする。

夜間診療の獣医は6時までなので間に合わない。朝なるべく早い獣医を調べつつ、よし、このまま獣医が開くまで頑張れよ、と、声かけつつ身体をさすり続けていた上の写真が、2日の朝、7時47分。だけど、そのあたりが限界だったらしい。

もともと、もうかなり冷たかったのに、それが急速に、さらに冷たくなっていく。そうか、コイツにしてやれることは、もう、なにもなくなってしまった。あのとき、ああしてやればよかった。あのとき、あんなことで怒ったりするんじゃなかった。そんな無数の後悔が、まさに、嵐のように押し寄せてくる。ま、ペット飼ってたことのある人なら、みんなそうだと思うけど、ほんと、打ちのめされてしまうよなあ。

というわけで、チャイに最後にしてやれることは、荼毘に付すことだった。これまでの3匹は茅ヶ崎のペット葬儀をやってるお寺さんで、なんと畜生の分際でお坊さんに般若心経読んでもらったりしたけど、残念ながら予約が一杯で、ここは我々が合掌して見送るだけの葬儀場なのだった。

さようなら、チャイ。おまえは幸せだったかなあ。ワシは、幸せだったよ。

Author: shun

2 thoughts on “チャイというネコがいたんだよ

  1. 出生は不明とのことですが、14年間他のネコちゃんたちと一緒に良きご主人の許、安穏な日々を過ごしたに違いありません。
    チャイちゃん、良いご主人に引き取られて良かったね。
    安らかに。

  2. へべれけさん、ホント、ありがとうございます。安穏とはとても言えない生活だったと思いますが、ワタクシは幸せでしたよ。

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