今日の昼飯は、スシローで泣いた。

寿司とうどん、という組み合わせが、好きなのだ。ガキのころから、好きなのだ。

子供のころ、病院に行くと、地下の食堂で母親に食わせてもらったなあ。大阪は扇町公園の近くにある、いまはチョー豪華なホテルのようになっちゃった総合病院。しかし当時は、戦後しばらく進駐軍が使ってたという、そりゃもう当時でさえ歴史的建造物のような建物で、暗い廊下には潜水艦のようにいろんなパイプが縦横に走ってて、エレベーターなんか自分でガチャガチャと蛇腹を開け締めするドアのタイプも残ってたんじゃないかなあ。

そんな古い古い、もともと薄暗い病院の、さらに薄暗い地下に、食堂があった。大昔の医院にあったような、白い布が金属枠に貼られたパーティションで、半分が職員用、半分が一般用に仕切られてて、デコラのテーブルに丸いスツールが並んでて……。どうして病院に行ったのかは覚えてないし、そこではたぶんオムライスだとかカレーだとか、そういうモンも喰ったと思うんだけど、しっかり記憶に残っているのは、寿司とうどんである。そんなセットはないので、両方一緒に注文してもらうわけだ。

うどんは、キツネだったり月見だったり、天ぷらだったり。寿司は、握りのセットのときもあったし、鉄火巻の桶なんかのときもあった。コレが美味しくてねえ。ま、考えたら両方同時に喰える場所なんか、そんなにないわなー。

しかし、母親がナニを食べてたか、なにか飲んでたか、そんな記憶が、まったく残っていないことに驚く。幸いにしてウチは貧乏してたわけじゃないので、一杯のかけそばみたいに自分は空腹を我慢して、なんてことはなかったはずなんだけど、母親の前にはナニがあったのか、ナニもなかったのか、まったく思い出せない。ワシって結局あのころから、自分のことしか見えてなかったのかなあ。

あの、お寿司とうどんをワシワシと食べる子供のワシを、静かに微笑んでみていた母親。そんな顔を思い出してたら、スシローのカウンター席でウッカリ涙がこぼれそうになって、あわてて会計ボタンを押したワシなのだ。

Author: shun

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