VOLVO V70の謎

もちろん、謎、ちゅってもあくまでもワシ個人のしょーもない疑問であって、社会的なナニかではない(笑)。

ボルボのV70つークルマは、大きく分ければ850まんまの初代、99年にフルモデルチェンジした二代目、デカくなった2007年の三代目、とあるわけだ。ワシが今回ゲットしたのは二代目。そして二代目のエンジンはすべて横置き直列5気筒DOHC20バルブのユニットを積んでるけど、それは排気量違いも含めて4種類あって、具体的にはノーマルアスピの2.4リッターに140馬力と高回転型170馬力の2種類と、209馬力の2.5リッター低圧ターボと、250馬力を誇る2.3リッターハイプレッシャーターボだ。

そして、まったく個人的な好みとして、ワシはターボよりNAが好きなので、140馬力か170馬力のどっちかを選ぶわけだけど、ここで「VOLVO V70の謎」である。なんと自分の買う(買った)クルマが、140馬力のエンジンなのか、170馬力のタイプなのか、それがわからないんである。マジかよ。

ちゃんと調べずに書くわけだけど、この2.4リッターNAエンジンの馬力違いは、どうやらコンピューターのセッティングが違うだけという話。てことは140馬力のエンジンをコンピューターで20%のパワーアップ……というより、元が170馬力のエンジンをトルキー方向にデチューンして140馬力エンジンを作ったんだろうなあ。
170馬力エンジンが最高出力を6000rpmで叩き出すのに対して、140馬力エンジンは最高出力をわずか4500rpmで発揮。しかもトルクは、170馬力エンジンが4500回転で絞り出す22.9kg・mからたった0.5しか落ちない22.4kg・mを、3750rpmという低回転で享受できる。なので140馬力車の方が、GO and STOPのシティランはもちろん、ハイウェイへの合流加速やそのままの高速走行まで、通常の走行パターンではラクチンに速く走れるに違いない。170馬力車と比べて痛痒を感じることなんか、まずないだろう。あなた、4500回転なんか、回したことある?

もっとも、パワーはあったほうがいい、というのも正論。170馬力のクルマの、30馬力の違いは、なんかあってガバっと踏むようなとき、4500rpmから先にもうひと伸び余裕があるよ、ってこと。余裕はあって困ることはない。つまり140馬力だろうが170馬力だろうが、どっちだっていいのが見つかったら、それを買っちゃえばいいわけだ。

カタログ的には140馬力のヤツは「ベースグレード」つーらしい。170馬力のはなんちゅーかつーと、「2.4」だ。どっちも2.4なんだから、すでにモデル名からややこしいんだが、実際にクルマを目の前にして、このクルマがなんなのか、それがわからない。エンジン型式は同じB5244だし、ボンネット開けてもエンジンルームの見た目は同じ。2.4の方はリヤゲートに2.4のエンブレムが付いてる、とかだったら混乱しないんだけど、そういうものはナニもない。新車価格は60万円くらい違うのに。
なんか見分け方はないものかと、インターネットとか検索してみるわけだが、中古でV70を買ったのですが、自分のクルマがどっちなのかわかりません、というような書き込みが散見されるばかり。

ワシが見つけた個体は、18年持ってて2万8000kmしか走ってないワンオーナー車。ゴムとかの経年変化をのぞけば、ほとんど新車(笑)。というわけで、140馬力でも170馬力でもいいや、と、見た瞬間に申し込み金1万円(笑)入れたんである。

そのクルマ屋さんはこのクルマを、ナニもなしのグレードです、と言う。でも、その言葉の言外に“たぶん“てのがついている。それはきっと、実はよくわからないんだけど、高い方だと思います、とか言っちゃってあとで安い方とわかったらまずい、という配慮だろう。でも、ワシも、ナニもなしのグレードだろうな、と思った。そもそも速さだとかドライビング・プレジャーだとかを求める人は選ばないボルボのなかでも、地味なシルバー塗色。車内の痛み具合などを見ても、おとなしい、真面目な、そして理性的で合理的な判断ができる人だったんだろうなあ、てのは容易に想像できる。だからベースグレードを選んでも、なんの不思議もない。ていうか、それが旧オーナーのベストチョイスだったと思う。そんな個体なのだ。しかし、無事納車も済んで乗り回していると、この個体、なんにもないヤツには付いてないはずのモンが付いていることが、なんとなく気になってくる。ワシも悩んだわけだ。買ったあとで(笑)。

まず、バイキセノンのヘッドライト。今でこそLEDが当たり前でディスチャージのヘッドライトなんか時代遅れの蛍光灯かよ、みたいなもんだけど、20年から前の当時は最先端で、チョー高価なオプションである。が、この高価なオプションは、当時のハロゲン球よりは圧倒的に明るかったから、安全な夜間走行というものを理性的に合理的に求めれば、多少値は張ろうとも、アリなチョイスである。前オーナーさん、奮発したのかなあ。ヘッドライトワイパーは、キセノンのオマケだったのかなあ。と、納得できる。

さらにシートは本革で、運転席には3人分メモリーできるパワーシート、しかも前席にはシートヒーターも付いているぞ。こんなのベースグレードを選ぶ発想からは“必要以上の”装備だと言えなくもない。ま、でも、そこらは個人の嗜好の問題。豪華な方が好きなんだもん、とか、シートヒーター、すっごく幸せになれるよね、というので付けた、というなら、それもアリだ。オプションだったルーフレールも、上にスーリーのボックスでもつけるつもりだったというなら、付けてもいいかも。と、まあ、納得できなくもない。

しかし、どうにも納得できなかったのが、このホイールだ。なんと225/45の17インチである。まあ、この程度のサイズ、いまじゃワゴンだって履くかもしれないが、当時のV70は140馬力も170馬力も、195/65R15が純正サイズ。この個体が履いてるのは、250馬力のT-5スポーツと同じサイズなんである。仮にオプションであったにせよ、乗り心地を犠牲にしてまでウン十万円からのエキストラだったはずの17インチ、おとなしめのオーナーが選ぶとは思えないよなあ。想像するオーナー像との、強烈な違和感。

次に、このクルマ、つーかワシの個体、かなり速いのだ。スリップを活用する古いタイプのトルコンAT(てか古いクルマなんである。それでもなかなか賢いアダプティブ5速ATなのよ)は、滑らせながらトルクを乗せてスルスルと加速していくわけだけど、高速道路の合流などで、必要以上にムガッと踏んでみたときなど、思いのほかの強ダッシュをみせる。これ、ホントに140馬力が1.6トンを引っ張ってんのか⁉︎ なんだかもう少しパワーが出てそうで、どうも170馬力のほうじゃないかな、という気がするのよね。

で、17インチのホイールを軸にいろいろ調べてて、いやー、ようやく謎が解けたぜ、じっちゃんの名にかけて(誰だよ)。この、まるで自己否定のような17インチのアルミ、ボルボの特別仕様車の常套手段のようなのだ。そしてワシが見つけたこのクルマ、V70の二代目前期モデル末期の在庫一掃処分特別仕様車、その名も「プレミアム」っつーヤツだったんだなあ。

V70
PREMIUM

Special Equipment
(特別仕様・装備)

Exterior
17インチ・アルミホイール ”Amalthea”
バイ・キセノンヘッドライト
フロント・フォグランプ
ルーフレール

Interior
本革シート
本革巻ステアリングホイール
本革巻シフトノブ
アルミニウム・パネル(ブラックメッシュタイプ)
CD/MD付ハイパフォーマンス・オーディオシステム
運転席8ウェイパワーシート
リアアームレスト(2カップホルダー付)

2.4ℓ 170馬力エンジン搭載

なにがアマルテアなんだよ、というのは置いといて、まんま、コレである。

[当時のプレスリリース]
ボルボV70にプレミアムな特別仕様

ボルボ・カーズ・ジャパンは、特別仕様車ボルボ『V70 Premium』(プレミアム)を7月1日から発売すると発表した。
V70のエントリーグレードをベースに、数々のオプションを特別装備するとともに、上級モデル「2.4」に搭載している2.4リットル5気筒、170馬力のエンジンを搭載した。

17インチアルミホイール、バイキセノン・ヘッドライト、本革シート、CD/MDハイパフォーマンス・オーディオ・システム、ルーフレールを採用した。

価格はエンジンのグレードアップを除いて約112万円分の特別装備を装着しながら、ベース車の34万4400円アップの481万7400円。

実際のところは、170馬力の2.4(モデル名である(笑))になんやかんやを足して、お値段ほぼ据え置き、という感じがしないでもないが、なんにしろかなりオトクな特別仕様車だったことは間違いない。ま、この3ヶ月後に、大きくマイナーチェンジするわけだが、それもお約束であろう。

で、ワシ的には、やっぱこの17インチが問題である。この前まで乗ってたW124の230Tの5.2mという驚異的な小回りこそ望むべくもないものの、FFで5気筒エンジンを横置きに積みながら、ベースグレードが5.6m、170馬力車は5.5m(この10cm違いの真偽は不明だけど、全長4m70超、ホイールベース2755mmの大柄なワゴンにしちゃ優秀でしょ。ワシのチンクなんか全長3.55m、ホイールベース2.3mなのに最小回転半径5.6mなのよ)という最小回転半径に、さすがボルボ、と期待してたんである。ところが、どうもそれほど小回りが効くとも思えないので調べたら、17インチ装着車は最小回転半径が6mなのだった。がびーん。

なお、最後に謎の答え。車検証の車台番号の、YV1SWの続きが65なら140馬力、61なら170馬力というのが正解だそうな。そこしか違いがないのかー。

Author: shun

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