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遠い昔に住んでいたマンションの、隣にある喫茶店。よく、窓際に座ってコーヒーとサンドイッチを頼み、通りを行くクルマや人を眺めていた。
ここのサンドイッチは、何の特色もないけれど、昔ながらの、いわゆるサンドイッチだった。たとえばタマゴサンドの身は、そんなの当たり前っちゃー当たり前なんだけど、ちゃんと自分とこで茹でたタマゴをつぶし、マヨネなどと和えて作って、それがたっぷりとした厚さで、パンの端っこまで詰まっていた。
片隅に座ってもボブ・ディランは聴こえてこなかったし、マスターに個性があったわけでもないし、学生街でもないし、一緒に行った女の感傷があるわけでもないけれど、コーヒーもサンドイッチも、真面目に、一所懸命に、コーヒーとサンドイッチだった。
時は流れた。10数年ぶりかなあ。店の名前は変わっていたけど、確かにあの頃と同じ、タマゴの味がしたような気がする。あのころ見ていた夢、あのころ感じていた不安は、どこへいったんだろう。